川上とタン「マレーシアのブミプテラ政策の今後について」
勉強会ではマレーシアのブミプテラ政策について皆で意見を共有した。まず、司会が大まかな史実の確認をし、最新の統計データなどを援用して、現段階でのブミプテラ政策下のマレーシアを評価した。 データを見る限り、ブミプテラの中所得層は過去二十年間で所得を増やし、中華系の所得増加率を上回っている。また、富裕層に関しても、中華系の比率が下がり、ブミプテラの比率が上がっていた。したがって、ブミプテラ政策の意図した格差是正については一定の評価はできるのであろう。 ただし、今後はどうか。寮生の意見では、優遇政策は競争力を低下させ、マレーシア全体の人材レヴェルに悪影響を及ぼすことを懸念する意見があった。とはいえ別の寮生は、実際にこの政策を変えようとなると、連邦制を取るマレーシアにおいて、反発の度合いも地域によって異なるであろう、と指摘した。 ある寮生は、中華系が3割を占めるのであれば、彼らが団結して運動すれば変わると考え、中華系の人々の意思の是非に視線を当てた。他の寮生は、経済格差が問題なのであるならば、民族で分けることに問題があるのではないかと指摘した。 多民族国家の中でも、言語も異なる二つの民族がそれぞれ大きな比重を占め共存を模索する国家というのが、マレーシアなのではないか。